みなさん、こんにちは。
茜さんはスコーミッシュへクライミングトリップ、王鞍くんは某日本一の山で住み込み労働、北平店長は絶賛忙殺されっぱなしのため、留守番係で暇人(当社比)の桂が今回も担当です。
今回は僕が今まで小川山・瑞牆で登って印象深かったルートの中でも、貸し切りでトライできたルートをピックアップ。
どれも天気の良い週末に訪れましたが、自分たちのパーティーだけでまったりと取り組めました。
「毎週どこも混雑していて困っちゃうよ…。」という方は参考にしてみてください。
「月形半平太 5.12a / 小川山・屋根岩本峰」


屋根岩岩峰群の最果てというロケーション。
ワイルドで奮闘的なクラックパート(オフウィズ付き)から間隔・状態ともにスパイシーなボルトで絶妙な花崗岩ムーブを繰り出さなければならないフェイスパートというルート構成。おまけに80mロープ orバックロープ必携。
ここまで読んで「いいね!」と思った方は、マストトライです。
テーマ抜きにして、個人的小川山ベストルートはこれかもしれません。やっぱり長いルートはいいですよね。それが、美しい岩峰の下から上までを繋ぐラインなら尚更。こんなルートをオンサイト出来るようになりたいです。
ちなみに、見事にオンサイトした中嶋渉さんの「小川山クライミングガイド(下)」掲載のルート紹介も読みごたえ十分で必読です。
混雑対策という意味では、ロングルート且つ転戦に不便な立地という条件がリスクなのでその点はご了承を…。
「三本槍クラック 5.11b / 小川山・屋根岩1峰東面」
クラック天国でお馴染みの小川山ですが、実は5.11以上のグレードのクラックの数は意外なほど少なく、特に5.11前半となるとごくわずか。そんな貴重な5.11前半のクラックの一本です。
出だしにボルトが打たれていますがプロテクション、ムーブともにクラッククライミングの技術が試されます。核心はしっかり悪いですが、その分コンパクトでもあるのでグレードの割に取り組みやすいと言えるかもしれません。この辺りのグレードのクラックの経験値を増やしたい方におすすめです。
「プリンセス 5.10b」、「花束 5.10c」といった 5.10のナイスなクラックが同じエリアにあるのもポイントが高いです。
「陽の当たる場所 5.10a / 小川山・殿様岩」
「予期せぬプレゼント 5.10a」、「イムジン河 5.11d」、そして「Ninja 5.14a」などの人気・有名ルートを擁する殿様岩にある(物理的に)隠れた名作ワイド。
取り付きへのアプローチであるトンネルの通過から岩肌にズリズリ体を当てなければならず、トライ前からワイド愛が試されます。お気に入りのジャケットを羽織ったままのアプローチはおすすめしません。30m近いルートスケールの間にセットできるカムの数は驚くほど少なく、コントロールされたクライミングが求められます。
自分はトライ中、怖すぎて何度も取り付いたことを後悔しました。しかし、降りてくると「良いルートだったなあ…。」という記憶に変わっている不思議。苦しい+恐い=充実。ワイドの魅力が全開です。
ちなみに、下降方法は懸垂下降を強く推奨。終了点が奥まった場所にあるため、ロワーダウンだとカムがスタックしやすく、実際に回収不能になったカムがクラックの奥に眠っています。
「文武は両道 5.12a / 瑞牆・カサメリ沢・秋場所ロック」


瑞牆・カサメリ沢、毎週末多くのクライマーで賑わうコロッセオの対岸には、この周辺では珍しくクラックルートが集中的に拓かれた秋場所ロックがひっそりと佇んでいます。このルートはそんな秋場所ロックのフラッグシップルートです。
個人的に内容と現状のポピュラーさの乖離が大きいと感じる一本で、この割れ目がそのまま十一面岩末端壁やクラック地獄にあれば、間違いなく超メジャールートになっていたと思います。出だしから気の抜けないセクションが続き、スケールもあって登り応えは十分。
個人的にはトポで付けられている星2つの評価を控えめに感じてしまうほどおすすめです。
「三本槍クラック」の説明で小川山で5.11前半のクラックが非常に貴重だと書きましたが、5.12前半についても同様のことが言えます。瑞牆を含めれば多少選択肢は増えるものの、その多くがアプローチが遠かったり、分かりにくかったりとパートナー探しが最大の核心になりがち。その点、このルートはお馴染みコロッセオのすぐ側でエリア間の往復も苦ではないので、パートナーも見つけやすいです。
イムジン河、バナナクラックの次の1本にいかがでしょうか?
気になるルートはありましたか?どれもA面(死語?)とは言えない認知度かもしれませんが内容はピカイチ。
トライした方はぜひお店で感想を聞かせてください。

そして、次回は写真を十分載せられるよう、岩場でしっかり写真を撮るようにします…。